スローフードとは
スローフードとは1980年代後半、イタリア ピエモンテ州トリノの南 Bra(ブラ)という小さな町から始まり、イタリア全土、ヨーロッパに広がった市民運動です。 当時、ローマにオープンしたファストフード(ハンバーガーショップ)に反対した市民活動で世界に広く知られることとなりました。日本では島村奈津さんの著書スローフードな人生!-イタリアの食卓から始まる』(新潮社)によって紹介されました。ちょうど同じ頃、アメリカから導入されたビジネスコンセプト ロハス(LOHAS= Lifestyles of Health and Sustainability)やマクロビオティック、ヴィーガン、ベジタリアンなどが混在し、日本においては真のスローフードの理念が浸透することはありませんでした。しかしながらその活動は今では世界160ケ国に展開する国際団体となっています。
スローフードの基本は、調理法や思想、ライフスタイルなどではなく、自分と自分の仲間が喜ぶ「食」を介したコミュニティに他なりません。「食べる人に美味しく、作る人にやさしく、地球を元気にする食べものを、誰もが享受できる世界へ」をモットーに活動しています。イタリアと日本は、南北に長い国土を背景に様々な食や文化、観光を楽しむことができ、独自の美意識、モノ造りを得意とする国民性など、互いに類似する点も多くあります。都市で暮らす私たちが、食を中心に世代を超えて地域でつながる・・・という小さな行動から、未来に大切なことを残していきたいと考えます。
Slow Food Community Setagaya Bioは、2023年6月2日にイタリア ブラのスローフード協会本部の承認を得て、正式発足予定です。
スローフード コミュニティ宣言
おいしく、きれいで、正しい食は誰にとっても不可侵の権利であり、これが地球上の誰かひとり に対してでも否定される限り、私たちはその権利を求め続けます。 食は、人々の生活の質を定義するだけでなく、歴史、創生、そして文化の発展や人々のアイデンティティにおいても中心的な役割を果たします。 私たちは環境保護を優先事項とします。環境保護と、陸上・海洋生物の多様性の促進や、より持 続可能な食のシステムの推進はともに気候変動に対応するための重要な活動です。私たち自身が口にするもの、人に与えるものをきっかけとして、私たちの日常的な選択が世界を変え、次の世代がより良い未来を築くのに貢献すると信じています。すべての人々が、いかなる状況にもかかわらず、理念として、また実践的支援や正しい情報の普及、意識改革のための活動を通して、そして持続可能な生産や消費の方法を選択することによって、スローフードを支援できると私たちは考えます。また、私たちは、国際的なスローフード運動が、人々の生活の改善と保護、生物多様性と生態系の防衛、生態学的食文化の再構築、環境保護、そして社会的および経済的不正行為との闘いのための活動モデルで あり、そして、私たちは、コミュニティを集団として形づけ、知識、人間関係、開放性、包括性、情緒的安定と民主主義に基づくシステムを促進する象徴とし、また、増加する不平等や社会的不公正、地球環 境危機の解決策の一部となり得るものとして、本当の変化を生み出すことができるものと認識しています。